大学での授業を学生が評価する制度は今では…


 大学での授業を学生が評価する制度は今では普通に行われているが、20年近く前、制度が始まった当初は、教員側には不満も多かったようだ。ある一流国立大学の老教授が「私の講義を学生に評価させるとは不遜極まりない」と大声を上げたというエピソードが最近の新聞に紹介されていた。

 いかに一流大学であっても、一介の学生がベテラン教授の学問的業績について十分な判断を下せるとは思えない。

 学生による評価は、教授の学問的水準ではなく、大学の一教員として講義が適切かどうかが対象となる。その評価も、予備校などでは人事と直結することも多いが、大学の場合、評価が低いからといって即クビということはない。

 顔を上げないまま教室に入り、そのままボソボソ講義し、時間がくればうつむいたまま教室を出て行くために、1年間教授の顔をまともに見る機会がなかったといったケースも、昔はないわけではなかった。

 授業には関心がなく、研究を第一と考える大学教員は今も多い。学生に教える教員としての役割が軽視される傾向はなくならない。

 評価と言っても、結局は数値で示されるのだから、どうしても教え方がうまいとか下手だとかいった面が中心になる。数値化できないもっと微妙で大事なものもあるはずなのだが、今の評価方法ではそこまで追い付かない。学生による評価はあった方がいいと認めた上で、そうした改善点も今後の課題にはなりそうだ。