脱ゆとり教育後の論議が盛んで、その一つに…


 脱ゆとり教育後の論議が盛んで、その一つに「アクティブ・ラーニング」という指針がある。「子供たちの『生きる力』の育成をより一層重視する」という目標を掲げ、「課題の発見と解決に向けて主体的・協働的に学ぶ学習」(文部科学省)だ。

 2014年、当時の下村博文文科相が中教審に諮問して以来、教師の間でも日に日に関心が高まっている。ただし、この考え方を初等中等教育における教育課程の基準として定め、制度として定着させるには幾つかの課題がある。

 端的に言えば、その際に教師の役割はどんなものになるか。従来、その指導力不足が指摘され、その質が問われてきたが、さらに「アクティブ・ラーニング」となれば、全く未知の世界だから戸惑いは大きい。

 だが「能動的な学習への転換」という流れは変わらないようだ。大学教育の国際化によって、わが国の大学の位置付けが問われ、国際的競争力のある教育機関の重要性がこれまで以上に言われていることもある。

 既に20年度の次期学習指導要領の実施開始と大学入試改革に向け、試行錯誤しながら「アクティブ・ラーニング」型授業を取り入れる教育機関も次々と生まれている。当の生徒、保護者はその選択にかなり熱心だろう。

 教育絡みの政治問題というとすぐ奨学金、教育費軽減が俎上に載せられる。しかし、国家の教育の在り方を踏まえた政治課題の検討も大切である。