「夏山の水際立ちし姿かな」(高浜虚子)…


 「夏山の水際立ちし姿かな」(高浜虚子)。夏というと、山や海のレジャーが思い浮かぶ。知人からも、家族そろって夏山でキャンプをする計画だという話を聞いた。山や海は楽しいけれど事故やケガには注意したいもの。

 「聖書読む蝋燭淡きキヤムプかな」(石島雉子郎)。俳句の夏の季語で山に関するものは「夏の山」や「登山」「キヤンプ」「バンガロー」などがある。海では「夏の海」「夏潮」「舟遊」「ボート」「ヨット」「プール」「海水浴」など、どちらも夏の遊びの定番がそろう。

 「成長の子等留守がちや夏休」(橋川かず子)。遊びを満喫できる長期間の夏休みがあるからだろう。とはいえ、夏休みには自由研究などの宿題がある。休みが残りわずかとなった時に後悔しないように、今から計画を立てることも必要だ。

 「桑の葉の照るに堪へ行く帰省かな」(水原秋桜子)。夏休みに帰省する人も多い。秋桜子の俳句にはノスタルジーが漂い、懐かしい気分にさせられる。

 気流子の故郷の母方の実家では昔、養蚕をしていたので、訪ねると家の外まで蚕が桑の葉をかじる音がした。桑は畑一面に植えられていて、夏の日差しが強く照り映えていた道を汗をふきふき歩いたものだった。

 90代となった母親は最近、物忘れが多くなったが、その頃のことをよく覚えていて、桑の実の甘酸っぱさが懐かしいと何度も話しているのを聞いた。昭和56(1981)年のきょうは、秋桜子が亡くなった日である。