教育専門誌「教育創造」(日本教育文化研究所…


 教育専門誌「教育創造」(日本教育文化研究所発行、年2回刊)に、教師のあるべき資質を問うて、「教師人間学」と題し連載している元衆院議員の小野晋也さん。近刊第89号で「山田方谷(ほうこく)」を取り上げている。

 方谷は幕末期の備中松山藩(現在の岡山県高梁市辺り)の藩政改革者。10万両の巨額の財政赤字に苦しんでいた同藩の財政責任者に就いた方谷は、わずか8年間ほどの間に、逆に10万両もの蓄積を持つ豊かな藩に変えた。

 優れた財政家だが、小野さんは方谷について「本物の教育者」だったと喝破している。「藩内の各地に学校をつくり、多くの寺子屋を育て」「抜本改革に取り組む力と気概を持つ人」を育てた――藩の潤いはその結果だったという。

 その上で、今日の教師が子供たちに対し教育する課題として①自分たちが生まれ育った故郷に、いかに胸をときめかす夢を描き出すか②その故郷で生きるための様々な知恵をいかに学ぶか③故郷の人々と心を響かせ合い、いかに力強く生きていこうとするか、などを挙げている。

 第2次安倍政権発足から今月で丸3年。外交・安保、経済再生では高い評価を得ている。しかし、第1次政権で教育基本法改正を果たした「教育の安倍」に、さらに期待した人たちには物足りない期間だったのではないか。

 地方の時代創出のためには、「本物の教育者」がうつぼつとして現れることが必要だという小野さんの声にも応えてほしい。