金相場とドルの価値
ペルセウス、彼はギリシャ神話に出てくる半神半人の英雄だ。オリンポス山の主神ゼウスとアルゴス王国の王女ダナエの間に生まれた。戦争の女神アテーナの助けを受けて怪物メドゥーサの首を袋に入れて帰る途中、海辺の岩に括(くく)りつけられた美しい女性、アンドロメダを救う。復讐(ふくしゅう)に立ち上がったメドゥーサの姉妹たち。彼は兜(かぶと)をかぶって身を隠した。
ペルセウスの黄金の兜。犬の皮の兜だともいう。危険が迫ると、兜をかぶって身を隠す。危険から逃れる兜。それは神話の中の話だけではない。黄金、金本位制度は廃止されたが、金は今も価値を測る尺度であり、危険を回避する手段だ。金相場と経済は反比例する。不況の底が深ければ深いほど、金相場は羽が付いて跳ね上がる。
香港の金相場はここ1カ月で6・2%、今年に入って11%跳ね上がった。6年ぶりの最高水準だ。2008年に世界経済を破壊した金融危機に続いて起こった欧州の財政危機。その危機が沈静化して下がった金相場が再び跳ね上がっている。
ニューヨーク・ロンドン市場の金相場も、連日上昇している。世界経済の危うい実情は金相場を見ても知ることができる。金と同じ役割をするのは米ドルだ。米国の信用を土台にして金と同じ“安全資産”をなしている。
わが国の経済はもっと困難だ。はやい速度で沈滞の沼にはまり込んでいる。“反市場”的な「所得主導の成長」というスローガンに傷が付き、米中貿易紛争だけでも足らず、日本の経済報復の衝撃まで襲ってきたので、カネが動き始めた。国民・KEB・ハナ・農協銀行の金の延べ棒は今年上半期だけで324億ウォン分売られた。昨年より91・5%も増えた金額だ。居住者ドル預金の残高は6月末現在、599億㌦(約70兆6000億ウォン)。1カ月の間に42億5000万㌦も増加した。
引き潮のように安全資産に移っていく市中資金。(1997年の)金融為替危機の悪夢を振り返っているのだろうか。明らかに危機の兆候だ。青瓦台(大統領府)はまた、「不安を助長するフェイクニュース」などと言うのかもしれない。金融為替危機の時は、どんなことを言ったのだろうか。そんな“見え透いた”話はしなかった。その時、政府は金融改革と高費用の打破を叫んでいた。それでも国家財政の破綻は防げなかった。
金相場を信ずるべきか、見え透いた政府の言葉を信ずるべきか。
(7月17日付)
※記事は本紙の編集方針とは別であり、韓国の論調として紹介するものです。