電子たばこ


韓国紙セゲイルボ・コラム「説往説来」

 1980年代に入って医学界で「燃やさないたばこが禁煙効果を高めるのに効果的」だという見解が台頭した。これに従って、ニコチンだけを吸引し、他の有害物質を遮断する技術が開発された。これを土台にして2004年、中国にある製薬会社が液状型の電子たばこの商品化に成功した。電子たばこが元来、禁煙道具として開発されたニコチン伝達システムから発展したという点から、アイロニーと言わざるを得ない。

 国内では2017年6月にフィリップモリスコリアが紙巻たばこ型の加熱式(電子)たばこ「アイコス」を発売すると、BAT(ブリティッシュ・アメリカン・タバコ)とKT&G(韓国唯一のたばこ製造会社)も同8月と11月にそれぞれ「グロー」と「リル」を発売した。加熱式たばこは紙巻きたばこと違ってタールが少なく、臭いもはるかに少ないという認識が広まり、喫煙者たちに人気となった。禁煙補助器具と考える人々がいるほどだ。今年第1四半期の加熱式たばこの販売量は9200万箱で、前年同期比33・6%増加した。たばこ販売総量の11・8%を占めるほど急速にたばこ市場を蚕食している。

 今年5月末に液状型電子たばこ「ジュール」が発売されて、再び波紋が広がっている。ジュールはUSBメモリーのように見える洗練されたデザインに加え、軽くて薄く、携帯に便利だ。臭いもほとんどない。ソウルの大部分の販売店では売り切れとなり、地方からも購入するために上京してくるほど人気がある。

 問題は電子たばこの喫煙者たちが「間接喫煙による被害はほとんどない」と考えて堂々と喫煙するため、隣人や通行者とのいざこざが増えているという点だ。臭いのために控えていた家の中やトイレ、車の中でもためらいなく吸うのだという。中学校や高校でも問題になっている。外形だけを見るとたばこなのか識別するのが容易でなく、教室で吸っても痕跡が残らないため、摘発するのも難しいというのだ。

 先月末、“ジュールの故郷”と呼ばれる米サンフランシスコの監理委員会が電子たばこの製造・販売・流通を禁止する条例を満場一致で承認した。それほど弊害が大きいということだ。発売以来の、電子たばこの有害性に関する論議は今も続いている。業界側は有害成分の濃度が低いという資料を提示するが、香料成分がガンを誘発し、一層有害になり得るとの研究結果もある。当局が迅速に有害性の有無について結論を出すべきではないか。

 (7月1日付)

※記事は本紙の編集方針とは別であり、韓国の論調として紹介するものです。