米国で家族形態をめぐる戦い
地球だより
米国では現在、家族の形態をめぐる戦いが進行中だ。11月20日、イリノイ州が同性婚を認可する法律を制定し、同性婚を合法化した州は16州となった。全米人口の38%が同性婚が認可された州に住んでいる。
米国で最初に州レベルで同性婚が合法化されたのは2004年5月で、マサチューセッツ州が最初だった。同性愛者擁護団体は法のもとの平等の原則を主張して、過去10年間、訴訟や州議会へのロビー活動を展開。近年は共和党員や保守派の間でも同性婚を容認するムードが広がるなど、家族のあり方についての世論が徐々に変化してきている。
今年だけで、ロードアイランド州、デラウェア州、ミネソタ州、ハワイ州、イリノイ州が同性婚を合法化した。いずれも民主党が州議会で多数派を握る州ばかり。
こうした動きから察すると全米50州が同性婚を認可するのは時間の問題であるかのような印象を受けるが、決してそうではない。同性婚容認ムードが拡大しているとはいえ、キリスト教信仰に基づく文化が生きている米国では同性婚への抵抗はまだ根強い。16州のほとんどはリベラル的風土が強い米北東部。残る34州は、中立の立場にあるニューメキシコ州を除いては全て州法で同性婚を禁止している。これらの州には、民主党が州議会と知事ポストの両方を支配している州はない。
近年同性婚が拡大してきたことの要因の一つは、オバマ大統領の同性愛者の権利を推進する政策である。半面、同大統領の政策への反感や反動も強まっており、家族をめぐる戦いの行方はまだまだわからない。
(K)