2030世代


韓国紙セゲイルボ・コラム「説往説来」

 大学生の息子を通して2030世代(20代と30代)の認識に接したが、30年前の2030世代と大きく違う。社会の変化より個人の利益についてはるかに敏感だ。近ごろ首都圏出身の大学生の心理的な剥奪感が非常に大きいという。大学入試の選考で逆差別されたと思っているのだ。

 学生簿総合選考や地域均衡選抜選考は地方出身に有利だ。卒業後、公共機関に入ろうとすれば、地域人材割当制の不利益を被ると不平を言う。首都圏と地方の対立が嶺南・湖南の東西地域対立より深刻だということが2030世代では空言ではないようだ。

 息子の友人たちにも仮想通貨に投資した者がかなりいる。本人は「いつか弾けるバブルだからやらない」と言っているが、実際は最低賃金を少し超える時給程度の小遣いしかもらっていないからだろう。「父さんの学生時代はあまり就職の心配をしなかっただろ」という言葉を聞いたのは2度や3度ではない。未来が暗い世代にとって一獲千金の夢は甘い誘惑だ。政府当局者による仮想通貨取引市場の閉鎖発言に2030世代があんなに激しく反応するのも理由があるわけだ。

 統一に対する考えでは30年の溝がさらに広がる。単一民族だから南北は一つの国家になるべきだということにあまり共感しない。

 つい最近の統一研究院の調査結果では、2030世代の2人に1人(49・4%)だけがそのように考えていることが分かった。統一の当為性より統一の費用の方に敏感な世代だ。統一には消極的な反応を示しながらも、公正さについては鋭敏だ。女子アイスホッケーの南北統一チーム結成にはあまり関心がないが、不利益を受ける選手たちは自分たちと同一視している。

 明らかに2030世代は“586世代”(60年代に生まれ80年代に学生だった現在の50代)の30年前と違っている。向こう見ずなようでしっかりしている。韓国史上初めてテニスの4大大会でベスト4神話を達成した22歳の鄭現選手。彼は世界の舞台でまったく気後れしなかった。試合を楽しみ、英語で冗談まで言いながら自分を思う存分表現した。対戦したテニス界の英雄に対する礼儀も失わなかった。

 今どきの2030世代に対して、礼儀も知らず、自分だけに関心があって何を考えて生きているのかさっぱり分からないというのではない。今の2030世代も30年たてば、新しい2030世代のことを心配しているだろうから。

 (1月30日付)

※記事は本紙の編集方針とは別であり、韓国の論調として紹介するものです。