空港窃盗に大統領が大鉈
地球だより
マニラ国際空港で長年にわたり荷物業務を請け負っていた業者が、ドゥテルテ大統領の怒りを買い契約打ち切りとなった。
原因は作業員による窃盗事件だ。パンパンガ州のクラーク国際空港で帰国したフィリピン人の預け荷物から、お土産などがゴッソリと盗まれた事件を空港当局が調査した結果、同社の作業員6人の犯行が発覚したのだ。
これを知ったドゥテルテ大統領は激怒し、問題の業者との契約を直ちに打ち切るよう空港当局に命じた。クラーク国際空港だけでなくマニラ国際空港での契約も打ち切られ、4000人が職を失う見通しだ。業者は再考を求めているが、ドゥテルテ大統領が応じる気配はない。
空港当局によると2016年に起きた26件の盗難のうち、16件が同社の作業員によるものだったというから呆(あき)れるしかない。その中にはASEAN(東南アジア諸国連合)会議でマニラを訪れていたトルコ外相夫人の荷物から宝石が盗まれた事件も含まれており、まさに国の顔に泥を塗り続けてきたと言える。これまで契約が続いてきたことが驚きだ。
ドゥテルテ大統領をめぐってはいろいろと批判も多いが、このくらいの大胆な人物でないとこの国を変えられないような気がしてならない。国際社会からの批判にもかかわらず、依然として高い支持率を保っているのは、国民がそのことを誰よりも理解しているからなのだと感じる。
(F)