政界の渡り鳥


韓国紙セゲイルボ・コラム「説往説来」

 国民の党と正しい政党の統合問題で険悪な雰囲気が漂う中、久々に品格の高い風刺のやりとりが繰り広げられた。(先に正しい政党を離党した)南景弼・京畿道知事が自由韓国党への復党を控え、フェイスブックに「世を乱す董卓を討伐することができるなら、快く曹操になる道を選びたい」と書くと、(京畿道)城南市の李在明市長は「曹操は時流に乗って陣営を渡り歩いたりはしなかった。有利・不利を判断して何度も陣営を変え、(養子となって)身を寄せていた董卓を除去したのは呂布だったので、南知事は曹操より呂布に近い」と皮肉った。「それじゃあ、私たちは(曹操の手で)無念の死を遂げた呂伯奢」だという反応もあった。自身の心境を中国の歴史上の英雄豪傑に比喩してやりとりした話術はやはり“国民代表”レベルだ。

 政治9段たちの華やかな言葉の応酬を締めくくったのは正しい政党の河泰慶議員だ。「南知事は自身を三国志の曹操に比喩したが、国民は曹と操が二つとも鳥の字(曹操と鳥鳥は韓国語で同じ発音)だということを皆知っている」。曹操、董卓、呂布、そして中国の4大美人の一人である貂蝉まで登場する興味津々な話がはっきり思い出せない読者は『三国志』をもう一度、開けてみてもらうしかない。

 国民の党と正しい政党が風前の灯火のような危機を迎えている。両党とも事実上の分裂状態だ。国民の党の(正しい政党との)統合反対派は改革新党の結党を準備しており、国会議員33人でスタートした正しい政党は朴仁淑議員の離党・自由韓国党への復党によって残る議員は9人となった。彼らは皆、“民意”に従うと言ったが、国民の目には分別のない渡り鳥だ。

 春は燕が教えてくれるが、政治の季節は政界の渡り鳥が教えてくれる。渡り鳥たちの羽ばたきが慌ただしいと、政治の季節がやって来たことが分かるのだ。地方選挙が5カ月後に迫っている。孔子の教えに「良禽擇木」という言葉がある。賢い鳥は良い木を選んで巣を作るという意味だ。賢い人は賢い主人を選んで仕えなければならないという意味が込められている。ましてや国民の涙を拭い希望が持てる政治を行うという人間ならば、なおさらだ。

 政界の渡り鳥は時流に乗ることに精一杯で木を選ばない。しかし、木の方も誰にでも巣作りを許すだろうか。木も口に出さないだけで、鳥たちのことをじっと見聞きしているのだ。

 (1月17日付)

※記事は本紙の編集方針とは別であり、韓国の論調として紹介するものです。