乾杯の掛け声
西洋の晩餐(ばんさん)では酒の入った杯を合わせ乾杯を叫ぶのが儀礼だ。ホストが乾杯の辞を述べた後に杯を上げて客たちが「チアーズ」、「ボトムズアップ」などの掛け声を叫ぶ。首脳間の公式晩餐でも同じだ。文在寅大統領は今年11月、ウズベキスタンのシャヴカト・ミルズィヤエフ大統領主催の国賓晩餐会で「ドストリック・ウチュン」と叫んだ。「友情のために」というウズベキスタン語だ。
韓国人同士で行う乾杯の掛け声は騒々しい。大韓商工会議所の朴容晩会頭は今年7月、青瓦台(大統領官邸)でのカクテルパーティーで「三通のために」と音頭を取った。「大統領、疎通(意思がよく通じる)、万事亨通(万事が思うようになる)のために」という意味だ。キム・ジュヨン韓国労総委員長は10月、青瓦台の「労働界招請対話」で「ノバル(労発)、テバル(大発)」と叫んだ。「労働者が発展してこそ大韓民国が発展する」との意味だという。少し白けたのか、「労働組合が発展してこそ大統領も発展する」と付け加えた。
李明博元大統領は「マダンバル」を好んで叫んだ。「対座する、あなたの、発展のために」の頭文字をつなげたものだ。(慶尚北道)安東選出の金光琳・自由韓国党議員は、方言を含む「イギジャ、ナガジャ」の掛け声で爆笑させる。「イギジャ」は「こんな機会、しばしば、持とう」の頭文字を並べ「勝つぞ」と同じ発音にしたもの。「ナガジャ」は慶尚道の方言の私=ナ、あなた=ギャ、彼ら=ジャを並べて「進もう」と同じ発音にしたもので、皆がうまくいくようにという意味が込められている。
乾杯の掛け声は年齢によっても異なる。20~30代は「バッカス(迫力、カリスマがあって、スピーディーに)」など、力と才気にあふれている。40~50代の掛け声は慎重だ。「ナイアガラ(歳=ナイ=よ、あっちに行け=カラ)」、「名品バッグ(名誉退職用心、品位維持、失業防止)」。歳月を掴んで訴えるような感じがするが、面白い。
今年の年末は大統領弾劾の熱気に当てられた昨年と違い賑(にぎ)わっているという。株価指数が2500を超えて忘年会が相次いでいる。ある調査機関の調査によると、成人男女の68%が忘年会を計画している。昨年より15%も高い。重要なのは年越しの意味を込めて参加者に“気”を補充する会にすることだ。「カルメギ(カモメと同じ発音)こそ、あなただ」。ますます(カルスロク)魅力(メリョク)があり気分(キブン)がいいのが「カルメギ」なのだとか。
(12月12日付)
※記事は本紙の編集方針とは別であり、韓国の論調として紹介するものです。