影潜める外国への憧れ
地球だより
外国エージェントと聞くと、スパイを連想するのはロシアに限ったことではない。先月外国メディアを「外国エージェント」として登録する新たな法案が可決された。「エージェント」に指定された外国メディアに、活動や資金の出入りの報告を義務付け、法律違反があれば報道活動は禁じられる。
トランプ米政権が、露国営衛星ニュース専門局「RT」の北米総局に対する締め付けを強化したことへの対抗措置である。
外国文化に憧れすらあったロシアの友人たちと最近は会話が噛み合わなくなった。普通の交流の場でも政治の話題を持ち出せない。プーチン流の民族主義的な愛国教育は確実に功を奏してきているように見える。
外国に憧れを感じている者はすでに海外に流出している。大多数のロシア人は、国粋的な視点のマスメディアの影響もあり、自国目線でしか海外を見ようとしなくなった。
だから、ここでは歴史を知らないロシア人に外国人が歴史を語るのはタブーで一番嫌がられる。彼らからすれば、西洋かぶれはただの外国のエージェントでしかない。
ロシア式プロパガンダの行き着く先は感情論のぶつけ合いだ。多くのロシア人が、アメリカというガキ大将に常にいじめを受けているという不毛の発想に陥るのは本当に残念なことだ。
(N)