冬季五輪の救世主


韓国紙セゲイルボ・コラム「説往説来」

 韓国のマスコミが激賞している2002年、米国のソルトレーク冬季五輪は散々だった。招致の時から贈収賄の不正まみれとなった。収賄疑惑を受けた国際オリンピック委員会(IOC)委員9人が追放された。

 協議の進行もめちゃくちゃだった。フィギュアスケートの審判がロビー工作を受けてロシアの選手に不適切な点数を付けた。フランスの審判が事実を明かして判定が訂正され、ロシアとカナダが共に金メダルを受賞するという史上初の事態が生じた。

 ドーピング検査で陽性反応が出て金メダル6個、銀メダル2個、銅メダル1個が剥奪され、薬物五輪の汚名を着せられた。米国のアポロ・アントン・オーノがハリウッドアクション(シミュレーションのこと)で先行する韓国の金東聖を失格させて金メダルを胸にし、非難を受けたその大会だ。

 ソルトレークシティーは急増する保安費用と予算の浪費で頭を痛めていた。砂漠の都市に作られた冬季スポーツの施設を再活用することも問題で、市は破産に直面した。その時、救世主が現れた。ミット・ロムニーが組織委員長に就いて辣腕(らつわん)を振るった。赤字を黒字に転換した。彼は余勢を駆って州知事となり、共和党の大統領候補にまでなった。

 日本は1998年、長野冬季五輪を成功の転換点にしようとした。六つの競技場のうち四つを最新式で建設した。競技場と社会間接資本(SOC)の建設費用として30兆ウォンを投入した。しかし、血税を吸い取る悩みの種となった。ロシアは2014年、ソチ冬季五輪に史上最高額の55兆ウォンを投入したが、ソチは幽霊都市となってしまった。

 平昌冬季五輪の失敗が目先にちらついている。平昌は(五輪招致を競った)茂朱はもとより近隣の自治体とは犬猿の仲だ。

 李明博大統領は招致成功のため秘密資金事件で有罪判決を受けた李健煕サムスン会長を“ワンポイント恩赦”したが、十分な協力を得られなかった。趙亮鎬・組織委員長は大韓航空の職員を組織委員会に派遣するなど、大会成功に邁進(まいしん)したが、崔順実一派に押されて途中下車した。崔氏一家が冬季五輪を牛耳ったことが知れわたって、国民までも平昌五輪にアレルギー反応を示している。

 入場チケットの販売不振に国民感情が表れている。スキーのジャンプ台の下に大規模な温泉プールを造り、スロープを山岳自転車ルートに転換して春夏秋冬楽しめる行楽地にしなければならない。ミット・ロムニーに匹敵するような無尽蔵のアイデアを持つ救世主が必要だ。

 (10月17日付)