頭脳流出、企業流出
南ベトナムが滅んだ後、武力統一されたベトナムが深刻な頭脳流出を経験した。エリート公務員と技術者、医療関係者などの人材が米国等に大挙して亡命した。いわゆるボートピープルだ。共産勢力が権力を掌握したが、高級頭脳の不足によって長く国家を興隆させられなかった。
今日、アフリカの国々でも起こっている現象だ。海外で教育を受けた医療関係者が戻ってこないのだという。こんな国々が頭脳流出→技術力の停滞→国家発展の退歩という悪循環に陥るのは当然だ。
わが国も海外に出た人材が戻ってこない比率が高い。海外で学位を取った理工系の博士たちは10人のうち5人が帰国しない。国内の研究所や企業の待遇が“ニンジン”になり得ていないのだ。中国は7月から外国人の高級人材を誘致するため“スマートカード”の永住権を発給している。列車や航空機のチケットやホテルの宿泊予約などを一気に解決できるように配慮した電子チップ付の永住権だ。昨年、習近平国家主席が科学者4000人を集めて2049年までに(中国を)科学技術の世界最強国にすると大言壮語した後に施行された政策だ。イスラエルは数年前から海外に出た自国の人材を呼び戻すために数千億ウォン規模の基金を造成して運用中だ。2012年に75%の富裕税を導入したフランスはこの制度を廃止した。高級人材と企業家たちが海外に逃げ出す副作用を確認した後に廃止した。
企業も国内の条件が取るに足らなければ海外に出て戻ってこない。わが国の政府が13年に「Uターン企業支援法」を導入して海外に出た企業を呼び戻すために、さまざまなインセンティブを発表したが、15年に4社、16年に12社など、これまで40社だけが国内に戻ってきた。中国・山東省の威海(ウェイハイ)に工場を建てたある製造業者は昨年、慶尚南道地域に工場を移転しようとしたが、より高くつく人件費などによって放棄したという。同工場が戻ってきていれば約100人の雇用が生まれていたはずだ。
ドナルド・トランプ米大統領の半強制的な政策を学ばなければならないようだ。彼の威嚇的な公約のためサムスン電子をはじめ、フォックスコン(鴻海科技集団)、米空調大手のキャリア、同自動車大手のフォードなどが米国に工場を新設したり、海外移転を撤回した。わが国も国家経済がいっそうむしばまれる前に何か特段の措置を施さなければならない状況だ。
(7月12日付)
※記事は本紙の編集方針とは別であり、韓国の論調として紹介するものです。