北の新型ICBM、中国が弾頭技術を提供か

ビル・ガーツ

 北朝鮮の新型大陸間弾道ミサイル(ICBM)の写真を分析すると、核弾頭搭載可能なミサイルの先端部分ノーズコーンが、中国から供給されたとみられているパキスタンの核搭載可能ミサイルの弾頭に似ていることが分かる。

 国際評価戦略センター上級研究員のリチャード・フィッシャー氏が本コラムに明らかにしたところによると、「火星14」と名付けられ、4日に大々的に試験発射が行われたこの新型ICBMの弾頭部分は、パキスタンで1月に試射が行われたミサイルの最終段に似ているという。

 パキスタンの中距離ミサイル「アバビール」は、1月24日に発射され、核、通常どちらの弾頭も搭載できるとみられている。

 先端部分の最終段が似ていることは「北朝鮮とパキスタンが長距離弾道ミサイルの開発で、これまでと同様今も協力を続けている可能性がある」ことを示しているとフィッシャー氏は指摘した。

 アジアの情報筋からの情報として同氏は、アバビールの弾頭を収める3段目のエンジンは液体燃料であり、パキスタンの中距離ミサイル「シャヒーン2」「シャヒーン3」の固体燃料の1、2段目の上に取り付けて発射されたと説明した。

 火星14は、液体燃料ミサイルとみられ、北朝鮮が公表した映像を見ると、そのノーズコーンはアバビールに酷似している。

 フィッシャー氏は「インド情報筋によると、重要なのは、アバビールが多弾頭または、おとり弾頭付きの単弾頭を搭載可能なことだ」と指摘。アバビールの多弾頭技術は中国から入手したものとみられている。中国は何十年にもわたってパキスタンに、核兵器やミサイル技術を提供してきた。

 フィッシャー氏は「中国が北朝鮮に技術を提供していた可能性もある。パキスタンでの試験発射を技術移転の隠蔽(いんぺい)に使うことは可能だ」と指摘、多弾頭技術をパキスタンと北朝鮮が独自に開発することは「ほぼあり得ない」と述べた。

 同氏は「中国は、北朝鮮、パキスタン、イランとある程度の技術を共有して、これらの国を核ミサイル保有国とすることで、ミサイル・核技術の拡散に対する非難をかわそうとしてきた」とみている。

 北朝鮮とパキスタンのミサイル開発計画に中国が関わっている明確な証拠はほかにもある。火星14とシャヒーン3の移動式発射台が、中国の主要ミサイルメーカー、中国航天科工集団(CASIC)に属する三江特殊車両製とみられることだ。

 中国が2012年から移動式発射台を密(ひそ)かに輸出していたことが明らかになっているにもかかわらず、米政府は中国政府に対して何の措置も講じていない。