北朝鮮で体制へ不満の兆候

脱北者らが指摘

ビル・ガーツ

 北朝鮮の脱北者らによると、北朝鮮国内で金正恩体制への反発が強まっていることを示す出来事が相次いでいるという。

 米人権擁護団体「北朝鮮自由連合」の会長で、北朝鮮問題専門家のスザンヌ・ショルテ氏は4月、脱北者らを招いて会議を開催し、北朝鮮国内情勢について意見交換した。

 ショルテ氏によると、①警官が身分証を所持していない母子を列車から連れ出そうとして乗客に阻止された②国家保衛警察が平壌で高齢の露天商の物品販売を阻止しようとしたが他の露天商に妨害された―など、「これまで聞いたことがない」現象が北朝鮮国内で起きており、これらは体制への「住民の反発が強まっている」ことを示していると指摘した。

 さらに、複数の都市で金正恩氏を批判する落書きが見られるようになったとの報道もある。

 ショルテ氏によると、金政権は依然、国民への弾圧を強め、強制労働収容所での刑を強化しているという。平壌南方の工場では、当局が認めていない映画が上映されたことを受けて当局が大規模な取り締まりを行い、80人が粛清された。

 また、支配政党、朝鮮労働党の党員らの亡命が増加し、既に25~30人の幹部が脱北したという。

 ショルテ氏は「国内の条件は変わっていない。人権状況は依然としてひどい。トランプ政権が北朝鮮国民の苦難に同情を示すメッセージを出せば、大きな影響があるはずだ」と語り、トランプ大統領の対応に期待を表明した。

 トランプ政権は北朝鮮への制裁を強化し、外貨獲得のために金正恩政権が使っているフロント企業と外国銀行との取引を絶つことを目指している。