タイ野党、笛吹けど踊らず


地球だより

 タクシン元首相に対し反旗を掲げるタイの野党民主党が呼び掛けた13日から3日間のゼネストは、不発に終わった。辛うじて民主党の支持基盤である南部のサトゥンやナコンシータマラートなどの一部の学校や役場で民主党支持者らが中心となって一時閉鎖しただけだった。

 それでも民主党が党を挙げて政府と対峙したのは、タクシン派と反タクシン派の政治抗争で投獄、訴追された人に包括的な恩赦を与える恩赦法案の狙いは、国外逃亡しているタクシン元首相の訴追に法的なバリアを設け、帰国の道を作ってはならないとの信念による。

 恩赦法案は国家を二分したタクシン元首相支持グループの赤軍団と反タクシングループである黄グループの溝を埋め合わせて国家の統一を果たそうという主旨だが、野党民主党としてはそれはきれいごとの建前で本音はタクシン元首相の帰国への道筋を付けることで、他は擬似餌にも似た付け足しにすぎないとばっさり切り捨てる。

 ただ同法案は、タクシン派が多数派を占める下院でこそ通過したものの、反タクシン派が圧倒する上院では否決されて廃案となる運命にある。

 残ったものは再び立ち上がったタクシン支持グループの赤シャツ軍団と反タクシン派の黄シャツ軍団との間に横たわる深い溝だ。

(T)