大統領の椅子と家族


韓国紙セゲイルボ・コラム「説往説来」

 「妻を私が捨てなければなりませんか。そうすれば大統領の資格があり、そのまま愛すれば大統領の資格がないというのですか」。2002年大統領選挙の与党候補を選ぶ予備選挙に立候補した盧武鉉候補は、(韓国動乱時に労働党幹部として住民虐殺に関与した)義父がアキレス腱として浮上すると感性に訴える言葉で正面突破した。金泳三候補の愛人“カオリ”、金大中候補の“ヨイドの女性”は対立広報チームの攻撃メニューだったが公開されなかった。

 12年大統領選挙で、朴槿恵大統領には実弟の朴志晩EG会長が重荷となったが、麻薬問題は焦点とならなかった。その代わり、朴志晩氏の夫人で朴大統領の義妹、ソ・ヒャンヒ氏が“万事オール通”だとして攻撃された。朴大統領は親族・姻族の不正を根絶するため特別監察官制を導入すると公約して危機を乗り越えた。

 「私の末の息子を大きな目でみて許してほしい」。昨年のソウル市長選挙で与党の鄭夢準候補は末の息子の「国民情緒は未開」発言で致命傷を受けた。李会昌候補は1997年の大統領選挙では子息の兵役忌避疑惑、2002年の大統領選挙では娘の(米国籍を得るための)“遠征出産”疑惑で涙を飲んだ。07年の大統領選挙で高建元首相が途中で出馬を断念したのには子息の健康問題が暴かれることへの拒否感も働いた。14年のソウル教育監選挙で高承徳候補は「父は教育監の資格がありません」という娘の直撃弾で挫折した。

 金武星セヌリ党代表と朴元淳ソウル市長は次期大統領にふさわしい人物として人気ナンバーワンを争っている。韓国ギャラップが11日に発表した世論調査では共に15%で1位になった。2人はあいにく女婿と子息の問題で頭を悩ませている。朴市長は最近、MBC放送が子息の兵役疑惑を報道すると、告訴など法律的手段で対応した。金代表は二番目の女婿の麻薬犯罪事実が暴露されると、盧武鉉氏の感性話法を応用して正面突破を試みた。「愛しているんだと泣きわめく娘を、破婚させることはできない」と言いながら「子供に勝つ父母がどこにいるだろうか」と訴えた。

 朴市長の子息の兵役疑惑は古くから知られた問題なので国民の関心はそれほど高くない。金代表の“麻薬女婿”の件は、陰謀論に飛び火して大きな問題になっている。事件が2月に終了し、7カ月後に報道されただけでなく、裁判所の判決文のファイルがインターネット媒体によって瞬く間に広がった。「劉承★の次は金武星!」という権力闘争説が飛び交っており、裁判所と検察の特恵疑惑に対する否定的な視線が収まらないことも負担となっている。先に見たように、家族の問題で危機に瀕した政治指導者には成功裏に克服した例も、失敗した例もある。金代表はどちら側になるのだろうか。

 (9月14日付)

★=日へんに文

※記事は本紙の編集方針とは別であり、韓国の論調として紹介するものです。