美しいサッカー蘇るか


地球だより

 「今のブラジルにはネイマールしかいないじゃないか」「どんなことにも限界はある。ブラジルサッカーは今まさにその限界にぶつかっているんだよ」。先日、ブラジル大手紙からのインタビューを受けた元ブラジル代表ロマーリオ氏(現上院議員)の言葉だ。

 ブラジルは、世界最多のW杯優勝回数を誇るが、現在の姿はペレやロマーリオ、ロナウドなどを排出した時代と比べ、とても「黄金期」とは呼ぶことができない。

 地元開催となった昨年のブラジルW杯では、準決勝でドイツ代表を相手に7失点で大敗を喫した。会場を埋め尽くしたサポーターが呆然(ぼうぜん)として涙を流した。

 ブラジル代表の立て直しのため、再度、ブラジル代表を率いることになったドゥンガ監督は、親善試合では連勝を続けたが、就任後初の真剣勝負となったコパ・アメリカでは、ネイマールの退場騒ぎなどを受けて、準々決勝で、格下と目されたパラグアイ相手にまさかの敗戦となった。

 近年のブラジルは、欧州サッカー界に欠かせない人材(選手)の担い手としての環境が整っており、サッカー選手を育成することが大きなビジネスとして成長してきている。欧州市場に合わせた選手の体格づくりや戦術の導入にも積極的だ。

 しかし、その半面、往年のような規格外の選手を輩出しなくなっており、さらにブラジルサッカー連盟は、前会長が収賄容疑で逮捕されるなど汚職にまみれた醜態をさらしている。世界の強豪を翻弄(ほんろう)してきた往年の「美しいサッカー」が蘇(よみがえ)るのを多くのサッカーファンが待ち侘(わ)びている。

(S)