国際空港にバスが運行


地球だより

 国の玄関口である空港を見れば、その国の実情がある程度分かるというものだ。フィリピンの場合は、やはり未熟な交通インフラによる圧倒的な不便さが浮かび上がる。

 ニノイ・アキノ国際空港に到着した利用客の交通手段は、基本的にタクシー一択だ。空港が認可した通称「イエロータクシー」がメーンとなるが、公認とは名ばかりで、メーターを使わずに言い値を要求、またはメーターを不正改造するボッタクリ行為が横行していて、高めの料金設定にもかかわらず、普通の流しのタクシーと変わらぬ手ごわさ。外国人にはいささかも信用できない代物となっている。

 記者も何度か悪徳タクシーに遭遇したが、長旅の疲れで徹底的に文句を言う気力もなく、高めの運賃をそのまま支払ったことがある。運転手もそこら辺を心得て、外国人を狙っているのだろう。

 さて、そのニノイ・アキノ国際空港に、ついにバスが運行するという朗報が飛び込んできた。これまで導入されていないのが不思議なくらいだが、空港利用客の増加でタクシー不足が深刻化しており、行政がついに重い腰を上げたようだ。既存の路線バスとの利権が絡むのか、降りられる場所はかなり限定されているようだが、悪徳タクシー運転手との攻防に悩まされることなく、空港から「脱出」できるのは画期的だ。

 バスは今のところ、一部の空港ターミナルでしか運行していないようだが、選択の余地がない利用者の弱みに付け込む空港タクシーに危機感を与え、自浄作用が働くことを願うばかりだ。

(F)