ヒューボの快挙
韓国紙セゲイルボ・コラム「説往説来」
人類の半分である女性の生活に最も影響を及ぼした発明は何だろうか。妊娠・出産の調節を可能にした避妊薬を挙げる学者もいるが、洗濯機を選ぶ学者が多い。洗濯機の発明で毎日平均4時間、洗濯に煩わされた女性たちが余暇を持てるようになり、社会に進出する土台となったというのだ。労働市場の新たな枠組み作りが洗濯機から始まったわけだ。英ケンブリッジ大の張夏準(チャンハジュン)教授は著書『彼らが語らない23の話』で、インターネット革命も洗濯機がもたらした変化ほど劇的でなかったと語っている。
洗濯機ほどの革新ではなくても、掃除機・アイロン・食器洗浄機などの家電製品が続々生まれ、最近はロボット掃除機が登場した。スイッチさえ入れれば、あちこち動き回ってホコリを吸い込んで掃いてくれる。使った人は分かるだろうが、まだ、十分満足はできない。テーブルの脚にぶつかって周辺だけグルグル回ったりするし、雑巾がけほどきれいに掃除ができるわけでもない。それでも自分の苦労を代わりにしてくれるという“心理的な慰安”となる。
映画の中の未来が大概現実となるように、子供と老人の世話をしたり、戦争を代わりにしてくれるロボット時代が来るはずだ。国連未来フォーラムのパク・ヨンスク韓国代表は著書『未来はどのように変わるのか』で2040年代末ごろには、家庭と産業の現場で多様なロボットが人間と共生するだろうと展望している。その頃にはロボットが運転する車に乗って、ロボット案内員の案内でショッピングをして、ロボットが手術する病院に出入りしているかもしれない。
遠い未来のことではない。今月5、6の両日(現地時間)、米カリフォルニア州のポモナでは米国防総省の国防高等研究計画局(DARPA)主催で「ロボットティクス・チャレンジ」(DRC)大会が開かれた。2011年、日本の福島第1原発事故を契機に始まった同大会は災害現場で人間に代わる“災害安全ロボット”の技術を競い合う場だ。わが国をはじめ6カ国から23チームが決勝に臨んだ。参加したロボットは数百㍍離れた所から無線操縦して、車の運転と下車、戸を開けて入る、バルブを閉める、壁に穴を開ける、階段を上る―など八つの課題を無事に、速く済ませなければならない。
賞金200万㌦(約22億ウォン)の主人公は韓国のKAIST(韓国科学技術院)チームだった。韓国最初の人間型ロボット(ヒューマノイド)「ヒューボ(HUBO)」がロボット強国である日本、米国、ドイツなどのチームに勝ったのだ。呉俊鎬(オジュノ)教授のチームが日本のヒューマノイド「アシモ(ASIMO)」に刺激を受けてヒューボの開発に没頭してから15年ぶりのことだ。“ウリ(国産)ロボット”の夢、1万時間の熱情が作り出した快挙だ。
(6月9日付)
※記事は本紙の編集方針とは別であり、韓国の論調として紹介するものです。