失敗の轍を踏む
地球だより
ベトナム最大の商都ホーチミン市では、大通りの路面にできた「轍(わだち)」が原因の交通事故が多発して社会問題になっている。舗装道路に轍ができることがいかにもベトナムらしいところだが、過積載トラックの連続的走行やシャワーのような雨期のスコールによる道路の傷み、何よりアスファルトを溶かす炎熱の南国風土などいろいろ要因はあるようだ。
せんだっては、マイチート大通りでトラックからコンテナが落下する事故が発生した。走行中だったトラックが、車線変更を試みようとしたところ、タイヤが轍にとられて、積載コンテナが荷台から落下した。通常の舗装道路でコンテナが飛び出すことは想定しにくいが、轍の落差にトラックがリバウンドした弾みに落下した。
マイチート大通りというのは、国内最大のカットライ港へのトラック用道路インフラとして3年半前に造られたばかりでホーチミン市とハノイ市を結ぶ1号線のようなボロボロの道路ではない。それでも道路には15㌢から20㌢もの深さの轍ができている。
同じインドシナ半島では報道写真家・一ノ瀬泰造の書籍『地雷を踏んだらサヨウナラ』が思い起こされる。ベトナムではさしずめ「轍を踏んだらさようなら」となるのかもしれない。
(T)