シンクタンクのルーツ


地球だより

米国の首都ワシントンはさまざまな顔をもつ。その一つは、「シンクタンクの町」という顔だ。シンクタンクというのは、政策立案や政策提言を行う政策集団である。民間の公共政策研究機関だが、米国政府の政策立案プロセスにおけるその影響力は無視できない。

 全米には1830のシンクタンクがあるといわれる。シンクタンクの評価を行っている米ペンシルバニア大学によると、世界のシンクタンク数は6618だが、その4分の1以上が米国に存在する。その中でも、ワシントンが米国のみならず世界のシンクタンク業界に占める位置は不動のものだ。

 そもそも、シンクタンクの元祖は、1910年にワシントンで設立されたカーネギー国際平和基金だとされており、ワシントンはシンクタンクのルーツである。

 ペンシルバニア大学が毎年発表している「世界有力シンクタンク評価報告書」の2014年版によると、世界の5大のシンクタンクをトップから挙げると、ブルッキングス研究所(ワシントン)、王立国際問題研究所(ロンドン)、カーネギー国際平和基金(ワシントン)、戦略国際問題研究所(CSIS、ワシントン)、ブリューゲル(ブリュッセル)の順で、トップ5のうち三つがワシントンにある。

 ワシントンのシンクタンクで日本の政治家や政府関係者から近年とくに注目を集めているのは、CSISだ。これは日米関係の比重が経済から安全保障に移行していることの反映だろう。ジョン・ヘイムリ元米国防副長官が所長で、防衛・国家安全保障問題では世界第1位のランキングになっている。

(K)