困り者のモスクワの警官
地球だより
モスクワで暮らす我々にとって一番の脅威は、実は犯罪者ではなく警官だ。
彼らは外国人と目が合えばパスポートの提示を要求する。日本人だと分かると態度が親切になり、言葉遣いも丁寧になる。しかし、どちらにせよ住民登録を怠ったと言いがかりをつけ「逮捕されるのがいやならカネを払え」と言う。
困ったことに彼らは、こういう場合に日本人なら15㌦程度の賄賂を渡してしまうと知っている。
一般的にモスクワの賄賂の平均金額は、推計で32万7000ルーブル(約64万円)とか。裁判の勝ち負けも賄賂で決まるという。汚職指数では世界136位で、悪くなる一方だ。
こんなアネクドート(小話)がある。
ある交通警官に子供が産まれた。
「カネが無いので何とかしてくれ」と上司に泣きついたところ、上司はこう言った。
「君の担当しているところの速度制限表示板、70だったね」
「はい」
「それでは今日から50のをもっていきたまえ」
それから数カ月。交通警官は給料を取りに来ない。心配になった上司が呼びつけたところ、彼はこう答えた。
「え。これ以外にまだ貰えるんですか」
(N)