タイ首相のパワハラ


地球だより

 タイ軍事政権のプラユット暫定首相(前タイ陸軍司令官)が記者の質問に対して頭に血が上り、つい殴りそうになったというエピソードを話し、物議を醸している。

 パワハラ発言を繰り出したのは、先日バンコクで開催されたセミナー会場だった。演壇に立ったプラユット暫定首相は記者から「政府の成果は何だと考えるのか」と聞かれ、「その記者の顔をつい殴りそうになった。これだけ精力的にさまざまなことをやってきたのに、見ていなかったのか」と軍事政権に冷ややかな目を向けるジャーナリズムに率直な不満を吐露した。

 これに対し英字紙バンコクポストの記者からは「指導者としてふさわしくない発言だ」と批判。さらに他のメディアからは「報道機関に対する直接的なブラフだ」との声も上がった。

 ただ昨年5月22日、クーデターで政権奪取を果たしたプラユット暫定首相は、裏表のないその率直さ故に内外の信頼を得ている。歯に衣(きぬ)着せぬぶっきらぼうな語り口と短気で知られる暫定首相は、時に記者会見中に怒りだして机をたたいたり、言葉を荒らげることもしばしばだ。プラユット暫定首相はタイ人独特のユーモアで包み、国民の間で一定の人気を保っている。

(T)