成長減速下のブラジルのインフレ
地球だより
ブラジルの今年度のインフレ予想が8%を超える可能性があるとブラジルのメディアが報じた。同じインフレでも、オーストラリアのように経済成長が伴うインフレならよいのだが、近年のブラジルは資源ブームの終息などもあり、経済成長減速と財政収入の悪化というダブルパンチを受けている。
財政収支を改善する必要に迫られたブラジル政府は、今年に入ってから大幅なガソリン税の値上げを導入した。その結果、主要な原油産出国でもあるブラジルの1リッター当たりのガソリン価格は、原油のほとんどを輸入に頼っている日本より高いという奇妙な現象に陥っている。
日本より遥(はる)かに広大な国土を擁するブラジルだけに、クルマは移動に欠かせない。日々の通勤や近隣都市への移動でのコスト増は、市民の懐を直撃しており、ガソリンの便乗値上げを阻止すべく、消費者庁が価格カルテルの有無を調べるほどの事態にまでなっている。
加えて、先月からは電気代も大きく上がった。発電の多くを水力に頼るブラジルでは、ダム湖の水位レベルによって電気代を追加徴収するシステムを導入。最高で8割近い値上げも予想されているのが現状だ。
また、この1年でブラジル通貨レアルの対ドル価値が50%近く下落、輸入品のコストが大きく上がっていることも国内物価の上昇につながっている。
市民は物価が上がることには慣れているはずだが、今年に入ってからの急速な物価上昇には、不満の声が聞こえてくる。物価上昇は教育費にまでも及んでおり、親たちは、頭を抱えながら子供の将来のために学費を捻出している。
(S)