カンボジアの高校卒業試験で6割落第


地球だより

 カンボジアで毎年行われている卒業試験で、昨年の合格者は26%。残る4分の3が不合格となるという衝撃的な結果となった。例年8割以上の高校生が合格していたのに、ちょうど合格者と不合格者の割合が逆転したような前代未聞の事態になった。

 この高校卒業試験に合格できないと、卒業資格を取得できず大学受験の道も絶たれる。高校生にとっては非常に重要な試験だ。背景にあるのは、政府がカンニングなど不正行為に対して、徹底的な防止策を講じたことによる。

 これまでカンボジアでは高校卒業試験における不正行為が横行していると、しばしば指摘されていた。調査によると、試験を受けた高校生の7割がカンニングなどの不正に関わっていた。さらに驚くべきことに、教師に賄賂を支払って事前に試験問題の解答を取得したり、試験中のカンニングを黙認してもらったりしていたとされる。

 政府は今回、不正防止委員を派遣した他、監視ボランティアを広く募り、監視人約3000人体制で試験に臨み大ナタを振るった。

 試験会場に入る際、厳しい持ち物検査を実施。携帯電話やカンニングペーパーなどを摘発していった。

 それで合格者が急減したわけだが、このままでは高校卒業者が急減する。教育の現場での人口ピラミッドに大きな穴が開くことを懸念した政府は、急遽(きゅうきょ)、追試を実施した。それでも本試験と追試を合わせた合格者の割合は、40%と惨憺(さんたん)たる結果だ。

(T)