タイでの職業訓練校生徒の対立
地球だより
タイのチャリティーコンサート会場で若者同士の乱闘事件が発生した。同事件を報じる新聞を読み、「ああ、またか」と思った。
タイでは、この種の事件が後を絶たない。
「若者」と「乱闘」の後に来るキーワードは、決まって「職業訓練校生徒」だ。
今回のバンコク郊外ノンタブリ県ムアントンタニで開かれたチャリティーロックコンサートの会場で起きた、棍棒(こんぼう)やナイフを持った若者数十人による乱闘事件も、警察は職業訓練校生徒の対立による襲撃と見て捜査を始めている。
今回の乱闘では、警官ら約100人が出動し、事態を収拾するのに約1時間かかっている。この騒動で、職業訓練校生徒ら80人以上が逮捕されている。使ったのは棍棒やナイフで、背中を刺された生徒が重傷を負い入院しているが、ひどい時は拳銃で射殺されるケースも珍しくない。体つきこそ大人だが、職業訓練生たちの顔はまだ子供で、それでも拳銃やナイフを繰り出して対立グループに敵意をむき出しの乱闘を仕掛ける姿は闘争本能で牙をむき出す闘犬にも似ている。
かつて職業訓練校生徒の乱闘事件に手を焼いた教育大臣が、こうしたワルをまとめて軍に放り込み訓練を強制的に課すプロジェクトを組んだことがあるが、結局、これも頓挫した経緯がある。
タイのなかなか解決できない、古くて新しいこの問題はタイ社会の喉に刺さったとげみたいなものだ。
(T)