タイで受刑者を漁船員に
地球だより
労賃の安いミャンマー人やカンボジア人など外国人を漁船で奴隷労働させているとしてしばしば欧米メディアから批判を浴びているタイで、受刑者を漁船で働かせるという構想が浮上している。
タイの刑務所はどこも麻薬密売人など犯罪者で満ちあふれ満員御礼状態だ。一方で漁船では深刻な人手不足状態が続いている。
この落差に道筋さえつけられれば、十分な見返りが期待できると見込んだスラサク労相(前国防省次官、陸軍大将)が提案している。
これに対しチャチャワーン法務次官(警察大将)らが賛意を表明し、法務省など関係機関と漁船協会が具体的な人材派遣事業について協議の席に着くことになった。
タイ漁船での奴隷労働については、これまでしばしば海外のメディアに取り上げられている。本紙でも何度か連載やコラムで、しばしば取り上げてきたテーマだ。
何年も陸に上がることを許されず、しかも漁労長に背いたり不平を言うと、荒れ狂う海に蹴落とされ、海の藻屑(もくず)と消える残酷な処刑も待っている現代のガレー船だ。
タイでも「きつい、汚い、危険」の3K職場は敬遠されがちだ。そこでタフな受刑者を海の3K職場に放り込み、人材難に陥っている漁船労働者の穴を埋めると同時に受刑者の更生教育を施すという一石二鳥の効果を狙ったものだ。
(T)