1位でなきゃダメ?
地球だより
先日、韓国で全国一斉に大学入学試験「修能(修学能力試験)」が実施された。近年は学校の授業で習った範囲から出題するようにと大統領から厳しいお達しが出ているせいか、受験生にとっては比較的難易度が低い出題が多いようだ。だが、そのため1点差で合否が分かれるという事態も珍しくないそうだ。
その「修能」が行われた前日、プレッシャーに押しつぶされた高3の受験生が自殺を図り、危うく一命を取り留めるということがあった。友達の携帯電話に自殺をほのめかすメッセージを送っていたおかげで、警察が現場に駆け付けて救助したそうだが、韓国ではこの種の「受験生自殺」が後を絶たず、社会問題になっている。
数年前の話だが、進学校で常に全校上位に入る優秀な成績をキープしていた高校生が、常日頃から母親に全校1位になることを強要され、ついに一番になった日に「これで満足?」という遺書を残し、マンションから飛び降り自殺するという痛ましい事件もあった。
子供を自殺に追いやるほどの過度な教育熱は、実は教育ママたちの自己満足でしかない、と分析した専門家がいたが、的を射ているかもしれない。日本のように万年ナンバー2に「よく頑張ったね」とすぐ慰めてしまうのも問題だが、「一番じゃなきゃ絶対ダメ」と子供に押し付けるのはやはり無理では。
(U)