ネズミも走るミャンマーの電車


地球だより

 ミャンマー第2の都市マンダレーから北部の中心都市ミッチーナまで電車に乗った。長距離バスもあるが、外国人には切符は売ってもらえない。距離にして500㌔程度だが、かかった時間は25時間だ。走るスピードも遅いが、途中の停車時間が結構、長い。

 分刻みで運行する日本の電車事情は、はるか異国の出来事に思えてくる。

 おやっと思ったには電車が走りだすと、内なる野性が刺激されるのか、負けてなるものかと目いっぱいのスピードでダッシュする路傍の犬やヤギがいることだ。空を見ると明らかに電車と張り合って飛んでいる鳥もいる。

 ミャンマー人のプライドの高さは有名だが、動物も同様らしい。自分より早いものは許せないようだ。

 何より驚いたのは深夜、電気が落ちて薄明かりだけになると、電車の中を走りだすネズミがいることだ。

 不器用なネズミで、尾とか体が触れるという次元ではなく、まともに足にぶつかって、また走りだす。そういうことが何度かあった。

 ネズミは別に電車と張り合っているわけではなく、電車に巣食っているのが夜になれば通常の活動をしているだけだ。

 だがネズミが走り回る電車というのは、さすがにインドやタイ、ベトナム、中国でも経験することはなかった。

 さらにミャンマーの電車には、おまけが付いていた。夜が明けて、どうも足元が痒(かゆ)い。靴下を脱ぐと、靴下のゴムの部分に接触した皮膚にびっしり南京虫に刺された跡が銀河状になっている。

(T)