国の音楽を流す義務 ーフィリピンから
このほどフィリピンの下院で、ちょっと変わった法案が全会一致で可決された。フィリピンを目的地とする国際線の旅客機などで、フィリピンの音楽を流すことを義務付けるという内容だ。
現地の報道によると、国際線の機内で流す音楽は50%がフィリピンの音楽でなくてはならず、ホテルやレストランなどの観光客向けの施設では、少なくとも25%をフィリピンの音楽とする必要があるという。また、観光バスでも車内で流す音楽の50%はフィリピンの音楽にする必要がある。
誰がどのように音楽の比率をチェックするのかは不明だが、これに違反した航空会社には30万ペソ(約68万円)、バス会社には5万ペソ(約11万円)、ホテルやレストランには2万ペソ(約4万5000円)の罰金が科せられるという、かなり厳しい内容だ。
法案を作成したアティエンザ議員によると、音楽を通じてフィリピン文化を紹介し促進することが目的だという。今後この法案は上院に送られ、承認されれば実際に法となって施行される。
音楽のジャンルに関する規定があるのかは不明だが、フィリピンの音楽には英語の曲も多く、外国人がフィリピン音楽と認識できるのかという疑問もある。
また、フィリピンでは欧米の音楽が好まれる傾向があり、特に1980年代のヒット曲が老若男女を問わず人気を集めカラオケの定番となっているほどで、この法案が実際に効果を発揮するかは未知数だ。