「多文化家庭」時代に備えは?ー韓国から
地球だより
韓国でもここ20年余り国際結婚が増えた。出産時の男児選好の影響で男性が女性より多い時期が続き、特に嫁の来手(きて)が見つからない農村の男性たちに、主にアジア系女性が嫁いでくるケースが目立った。だが、近年は自然に出会って愛を育むカップルも多い。国際結婚世帯をこちらでは「多文化家庭」と呼び、社会全体で温かく受け入れようとしている。
というのも多文化家庭、特にその家庭の子供たちが学校などでいじめや差別に遭うことが少なくないためだ。母親が外国人である場合、韓国語の習熟が遅れ、それが原因でいじめられたり、肌の色が違うことで周囲に受け入れられない子もいるのが実情だ。
ただ、認識を改めるのは簡単ではない。ある小学校4年生向け道徳の授業では、自分の子が、肌の色が違い、韓国語もよくできない同級生と仲良くするのを快く思わない母親が、その後反省して二度と多文化家庭につれなくしないと改心する物語の動画を視聴していた。
ところが、改心したのは多文化家庭への不寛容を反省したからではなく、同級生の母親が母国で学校の教師をしていたことを知ったから―という設定で描かれているのだ。
多文化家庭への接し方を学ぶ教材としては極めて不適切ということで、削除されたようだが、相手が多文化家庭であることへの配慮より社会的地位に目が奪われる母親の姿は、実態を映し出しているとも言える。
(U)
(サムネイル画像:Wikipediaより)