ミャンマーの海を知らない若者たち
地球だより
ミャンマー第2の都市マンダレーから東北250㌔にあるラッショーで、英語教師のキョウゾーウイン氏と出会った。
マンダレー大学の英語学科を卒業し、生まれ育ったラッショーで英語塾を経営している。彼に街の案内を頼むと、快く引き受けてくれた。塾の生徒はその間、自習だった。
だがキョウゾーウイン氏は、ちゃんと計算していた。街を案内し終わると、塾の生徒たちに何でもいいから英語でしゃべってくれという。
願ってもない申し出に、無償で臨時講師を引き受けた。こちらにしても、若い人たちの意識を知る絶好のチャンスだ。
18歳から25歳までの30人程度の生徒たちは、女性がほとんどを占め、男性は4人しかいない。彼女たちは海外への飛翔(ひしょう)を夢見ているのかもしれないと思って、志望する将来の職業を尋ねてみた。すると大半が「教師とエンジニア」だ。
うら若き女性たちが油にまみれたエンジニアかと、いぶかしく思ったが、彼女たちがイメージしているのはWEBエンジニアでコンピューター技術者だった。
なお生徒たちは全員、海を知らない。ミャンマーにはインレー湖という大きな湖があり、そこにはさすがにほとんどが出掛けているが、ヤンゴンでさえ数人しか行っていない。さらに下って海まで出た者は誰一人いない。
彼女たちが海を越え世界に羽ばたいた時、どういう感想を抱くのか興味を持った。
なお20年近い幽閉生活から解放されてバンコクを訪問したアウン・サン・スー・チーさんは、ヤンゴンの暗さと比べ光り輝く大都市のたたずまいに国造りへの意欲をかき立てられている。(T)