率直に話そうーイスラエルから
地球だより
最近、興味深い動画に出くわした。登場人物は2人。1人はパレスチナ人のラッパーで、もう1人はユダヤ人の教育者だった。2人がガレージのようなところで、小さなテーブルを挟んで互いの社会や民族に対する不平不満をぶちまけているのだ。
面白いことに、一方が激しく延々とののしっている間、もう片方は黙って聞いている。相手が終わったとみるや、即座にもう片方が相手をののしり始めた。一通り終わったら、2人は黙々と目の前にあったピタパンとフムス(ひよこ豆のペースト)を食べ始めた。
なんと2人は大の仲良しで、互いが属する社会に相手の事情や思いを知ってもらおうと、この動画を撮ったという。イスラエルとガザの5月の交戦が停戦になった日に公開された。
このパレスチナ人ラッパーは、この動画を見たユダヤ教徒たちから突然ハグされ、さらに彼らは「すまなかった」と謝ったそうだ。彼は、他にも多くの賛同的なコメントをもらっているという。
「率直に話そう」というタイトルのこの動画。2人が食べていたピタパンとフムスは、ユダヤ人とアラブ人共通のソウルフードと言えるような食べ物だ。動画を通して互いの痛みを理解し、共に住み、共に食べようと語り掛けているのだ。
停戦してもなお、民族間にあった互いに対する不信感を、このように率直にぶちまけることによって、逆にスッキリしたのではないだろうか。2人の友情と勇気に拍手を送りたい。
(M)