西ガーツ山脈の恩恵ーインドから
地球だより
インド半島の西側には、壮大な西ガーツ山脈がそびえ立つ。一度、ムンバイからプネ経由でゴアまでの約300キロを車で移動したことがある。
西ガーツ山脈を仰ぎ見ながらの旅だった。モンスーン気候の恩恵を受けた緑豊かな西ガーツというのが第一印象だ。何せ山の中腹から何条もの滝が流れ落ちている。西ガーツ版白糸の滝といったところだが、スケールが違う。
ここではアラビア海からの水蒸気をたっぷり含んだ湿潤な空気が、西ガーツ山脈にぶつかることで大量の雨をもたらしている。このため西ガーツ山脈に降る雨は多くの川の水源を形成し、インド全域の気候に大きな影響を与えている。
いわば谷川岳で隔てられた新潟県と群馬県にも似て、西ガーツ山脈の西が大雪で閉ざされる魚沼、越後湯沢、乾燥した風にさらされる東のデカン高原が空っ風の群馬県といったところだ。
西ガーツ以西が年間降雨量4000ミリといったモンスーン気候で、高いところで3000メートル規模の峰々を擁する西ガーツ山脈は、屏風(びょうぶ)のようにそびえ立ち、多くの雨を西側に降らせる。
西ガーツ山脈の縁は垂直に切り立った崖になっていて、崖の途中には何段かのテラスが形成されている。
ヒンズー語で階段のことを「ガーツ」と言い、東西の山脈の名称もこれに起因する。
(T)