外出制限緩和も我慢の春ー米国から


地球だより

 最近、米首都ワシントン周辺でも寒さは消え、徐々に春らしい気候になってきた。それにつれ、人々が外出する機会も増えている。

 携帯電話の動きを追跡しているメリーランド大学の研究者によると、昨年、新型コロナウイルスの感染拡大により外出制限が発令される前よりも外出が増えているという。

 今年3月の第1週に外出をした回数は、1年前より13・6%も上回った。在宅勤務をしている人もまだ多いが、それでも公園で散歩したりする人が増えているようだ。

 新型コロナ感染者数が減少したり、ワクチン接種が徐々に進んでいることに加え、春の訪れが外出気分を後押ししている。

 首都ワシントンで最も大切にされている春のイベントと言えば、桜祭りだ。

 しかし、新型コロナ感染への懸念のため、恒例のパレードやナショナルモールでの凧(たこ)揚げイベントなどが中止となった。当局は現地を訪問せずに、映像配信を通して桜を観賞するように求めている。

 家にいて人混みを避けてほしいと当局が繰り返し要請したにもかかわらず、昨年は親子連れや写真愛好家らがポトマック河畔の桜の名所に殺到した。こうしたこともあり、当局はこのエリアを完全に閉鎖するか、アクセスを制限するなどの対応を検討している。

 それでも25人のアーティストがワシントン市周辺エリアに桜をモチーフとした高さ5㍍の作品を展示するほか、オンラインを通したイベントが企画されるなど、盛り上げるための工夫をしている。

 外出制限は緩和されているものの、今年はまだ我慢の春がある程度は続きそうだ。来年こそは、盛大に祭りが開催できることを期待したい。

(Y)