自粛・忍耐のダサイン祭ーネパールから


地球だより

 最も有名なヒンズー教徒の祭典の一つ、ダサイン・フェスティバルが10月17~26日にあった。毎年ヒンズー暦により日は変わるが、秋に10日間かけて世界中のヒンズー教徒がこの祭典を祝う。

 春のホリ・フェスティバルもそうだったが、ヒンズー教の多くの祭典は、善なる側が悪なる側に打ち勝ったことを記念したものが多く、このダサイン・フェスティバルも女神ドゥルガーが、マヒシャースラという悪神に打ち勝ったというヒンズー神話の故事に由来している。

 この戦いは数日間続いたといい、祭りの9日間は善なる側と悪なる側の絶え間ない戦いを表す儀式だ。悪がどのように頑張っても勝つことはなく、常に善なる側が悪なる側に勝利するという神話を表している。

 また、ダサイン・フェスティバルは、遠く離れた家族や親戚に会う習慣があり、帰省期間でもある。特に子供たちにとっては、ヒンズー教の数ある祭典の中でも、みんなが集まるダサイン・フェスティバルが大好きだ。

 この期間は約1カ月の休暇があり、親が子供に新しい服を購入し、おいしい食べ物を用意する。また親族に会うことができ、大人たちから祝福と贈り物としてダクシナと言われるお金をもらえる。

 しかし、今年は新型コロナウイルスのため例年のようにいかなかった。外に出て遊ぶこともままならず、楽しみのはずが自粛・忍耐のダサイン・フェスティバルとなってしまった。

(T)