地獄絵図のような森林火災ーブラジルから


地球だより

 ブラジルは今年、半世紀ぶりとも言われるうだるような暑さと旱魃(かんばつ)に襲われている。中西部と北部を襲う深刻な旱魃は、今後何年も続く可能性が指摘されており、アマゾン熱帯雨林や世界最大の湿原であるパンタナルでは、歴史的な森林火災が大問題になっている。

 数年前、乾期のパンタナルを取材で訪れる機会があった。世界自然遺産でもあるこの地域には私有地の牧場も多く、絶滅危惧種スミレコンゴウインコの保護活動を行っている牧場を訪問することが目的だった。

 経由地の空港から車で数百㌔、南米大陸のちょうど真ん中に位置するパンタナルまで続く道路を走っていくのだが、途中で次第に視界が曇ってきた。

 同行していた知人に聞くと、この先で森林火災が発生しているので窓は開けないでほしいとのこと。

 しばらく走っていると、まだ昼すぎにもかかわらず、外はまるで夜のように暗くなってきたかと思うと、今度は視界の回りが炎の色で覆われた。交通止めになっていないので、安全に抜けられるはずなのだが、ほとんど視界のない状況で空の上まで森林火災に包まれる様子は、まるで地獄絵図のようだった。

 今年、パンタナルを襲った森林火災は観測史上最悪で、実に25%近くの森林が失われたという。

 さらには、絶滅危惧種を含む多くの動物たちが焼け死んだり、すむ場所を追われた。森林火災の多くは、野焼きなど人の手によるものだが、失われた森林の再生には、何十年もの時間が必要だ。近い未来、記者が見た地獄絵図に、人類が落ちないことを祈るばかりだ。

(S)