米国 「孔子課堂」へ警戒呼びかけ
全米の学校運営者らに書簡
米国の国務省と教育省は13日、全米の高校以下の学校に設けられている「孔子課堂」の教育プログラムは児童・生徒らを狙った影響工作だとする書簡を、全米の学校運営者に送付、警戒を呼び掛けた。孔子課堂は、世界各地の大学で中国語や中国文化の教育を行っている「孔子学院」の傘下にあり、米政府は学院の年内閉鎖を目指している。
ポンペオ国務長官とデボス教育長官は州教育委員会に送った書簡で、孔子課堂は中国政府からの資金提供を受けており、その教育プログラムは、「米国の教育にとって現実の脅威だ」と訴えている。
書簡は、中国がカリキュラムを作成し、中国語の訓練を受けた教師を、米国の幼稚園から高校まで数百校に送り込んでいると指摘、「孔子課堂は実際に中国の世界的影響工作活動の重要な部分を占めている。現在、毎日何万人もの米国の子供に接触している」と強調している。
米国の教育者らの多くは、孔子課堂の教育プログラムが、中国の教育省と関連があり、中国共産党の不正を隠蔽(いんぺい)するための巧妙な影響工作であることを知らない。
書簡はさらに「カリキュラムと教え方に全体主義的な傾向があることは大変な懸念材料であり、非常に重要だ」とした上で、「中国政府は、香港で人権と自由を抑圧し、チベット、内モンゴルなど『自治区』の少数派民族とその言語への抑圧を強め、新疆の『自治区』では第2次世界大戦以降最大規模となる宗教少数派の拘束が行われている」と、中国での人権侵害にも触れている。
また、中国政府の支配を逃れた多くの中国人が米国に移住していることを挙げながら、「中国政府が、これらの中国系米国人の子供が通う学校に実際に入り込んでいるというのは問題だ」と述べている。
一部の生徒らによると、中国語講師らは中国政府にとって微妙と思われるテーマ、中国に批判的なテーマは避けているという。
孔子課堂は、全米の約100大学で中国政府の支援を受けて文化、言語の教育を行っている孔子学院の傘下にあり、トランプ政権は年内に孔子学院すべてを閉鎖する意向を表明している。
書簡は、「親は、子供の学校で何が起きているかを知る権利がある。特に、議論を呼んでいること、政治的なことに関しては、これが重要だ」と指摘、学校運営者らに、プログラムをチェックし、学校の情報が守られ、中国との関係が相互的で透明性のあるものになるよう注意を払うべきだと呼び掛けている。