危機に瀕するサービス業ーフィリピンから
地球だより
3月から数カ月にわたって新型コロナウイルス対策のロックダウンを続けてきたフィリピン。依然として数千人単位の感染者が毎日確認され収束とは程遠いが、医療危機を脱しつつあり、政府は規制緩和し経済活動の再開に舵(かじ)を切っている。
しかしながら、外出しない生活様式と収入の減少による消費控えが定着したせいか、ショッピングモールなどの商業施設はどこも閑古鳥。依然として子供の外出は禁止ということもあり、家族連れで買い物に行くような状況ではない。
食事のためファストフード店に行くと、コーラなどの清涼飲料水は販売停止でアイスティーの一択になっていた。おそらく、客が少な過ぎて複数のドリンクを捌(さば)けなくなったのだと推測。従業員も注文を受け付けるレジ係と厨房の2人だけと最小限で、とても人気チェーン店とは思えない惨状だ。
商業施設で装着が義務化されているフェイスシールドを持って、散髪のためにモール内の美容室へ行くと、いつもお願いしている美容師がいない。辞めたのかと聞くと、客が少なくて輪番制で営業しているとのこと。次に出勤するのは週末だと言われた。
コロナ禍前はいつも順番待ちができていたモール内の美容室も、経営危機に瀕(ひん)する有り様だ。
最近の世論調査では「最悪の事態はまだ来てない」と信じるフィリピン人は57%に達し、7月の47%と比べ悲観的な考えが広がっている。
(F)