世宗市の土地
23年前、当時の財政経済院(現企画財政部)の官僚たちがこう話していた。「(1997年末の)金融危機に見舞われたのは経済官庁を(京畿道)果川に移転したため」だと。なぜ、そんなことを言ったのか。
その当時も“官治”(官主導の統治)は依然猛威を振るっていた。明洞・汝矣島の金融市場とかけ離れた果川。(ソウルと京畿道を分かつ)南泰嶺の峠道は終日、交通地獄だ。その時も今も全く同じだ。
互いに往来が大変なので、経済官僚たちは金融・実物市場の実情を聞く道がなくなる。「経済官僚はその時から市場がどう動いているのかよく分からなかった」という。官治のコントロールタワーはきちんと作動しただろうか。
今はもっとひどい。行政官庁が世宗特別自治市に移った後、“衛星長官(閣僚)”“路上次官”“カトク(カカオトーク)課長”ばかりだ。長官の交流はさておいても、会議1回きちんと開くのも難しい。政策討論などは考えられない。とはいえ、官治は消えておらず、過去よりもひどい。
大統領から「自由市場経済」を口にしない。経済関係の長官は大統領の顔色伺いに忙しい。22回にわたる不動産対策の本質は、官治だ。規制と税金爆弾が乱舞するだけで、市場親和的な対策は全く見つからない。不動産政策だけがそうなのだろうか。
与党は世宗市への行政首都移転に火をつけた。“遷都”という主張だ。「青瓦台(大統領府)と国会を移転し住宅価格を抑える」との論理を展開する。本末転倒に近い。不動産政策の失敗、権力型不正腐敗、ソウル市長セクハラ疑惑、検察総長(検事総長に相当)無力化…など、民心に火を付ける論議を覆い隠すための小細工ではないか。
共に民主党、李海★代表の配偶者の土地が噂になっている。世宗市全東面美谷里の土地だ。KTX全義駅から近く、山城の上り道に、二階建ての家(一戸建て)が建っている。今年の世宗市マンション価格の上昇率は21・36%。ソウル0・34%、京畿6・89%よりはるかに高く、暴騰水準だ。“信じ難い”韓国鑑定院の統計値だ。行政首都移転の話が出てきた後は、さらに急激に上昇している。
世宗市の地価はどれだけ上昇し、李代表の家の価格はまた、どれだけ上がったのだろうか。
李代表は高価な(ソウル)漢江周辺の住宅価格を持ち出して、ソウルを「浅薄な都市」だと言った。天井知らずの世宗市の住宅価格については、何を考えるのだろうか。
(7月29日付)
★=王へん+先先の下に貝
※記事は本紙の編集方針とは別であり、韓国の論調として紹介するものです。