ジャガイモの歌


韓国紙セゲイルボ・コラム「説往説来」

 小麦、米、トウモロコシと共に世界4大作物に属するジャガイモは長所が多い。栄養価が豊富で値段は安い。荒れた土地でもよく育ち、気候への適応力が優れている。収穫量が米や小麦より2~4倍も多い。ペルーが原産地で、インカ帝国を滅亡させたスペイン人を通して16世紀末にフランス、ドイツ、ポルトガル、アイルランドなどに普及した。ジャガイモが導入されて欧州人たちは慢性的な飢饉(ききん)から解放された。ドイツの詩人ゲーテは「新大陸から来た物のうち、悪魔の呪いと神の祝福があるが、前者はタバコであり、後者はジャガイモ」だと語った。

 欧州に初めて伝えられた時には、“悪魔のプレゼント”と呼ばれるほどの忌避食物だった。聖書に出ていない作物である上に、姿かたちも異常で、食べるとハンセン病にかかる恐れがあると考えられたためだ。飢餓問題の解決を急いだドイツ国王は農家にジャガイモ栽培令を下し、違反すれば厳罰に処した。フランスの農学者パルマンティエは王室の宴会にジャガイモ料理を出すなどの方法で食用を促進した。

 欧州で初めてジャガイモを主食にしたアイルランドは1845~52年にジャガイモが枯れる病気が広がって大飢饉が発生し、約100万人が餓死し、約100万人が祖国を離れる惨事に遭遇した。「私は鎖に巻かれた黒人を見て人間はこれより悲惨になり得ないと思ったが、アイルランド人を見て考えが変わった」。フランスの社会学者ギュスターヴ・ド・ボーモンは、アイルランドの大飢饉を目撃し、このように記録している。

 わが国でも貧しかった時代にジャガイモは空腹を満たしてくれるありがたい食料だった。1832年に満州の間島地方から伝来したものと言われている。カムジャ(ジャガイモの韓国語名)という名前は「北方から来たサツマイモ」という意味の北方甘藷(プッパンカムジョ)から派生した言葉だ。

 国会外交統一委員長の宋永吉議員(共に民主党)がフェースブックにジャガイモを収穫して歌を歌う画像をアップしたが、この歌が『大紅湍(デホンダン)カムジャ』という北朝鮮の童謡であるため、論議が起こっている。宋議員は韓国ドラマに出てきた歌をまねたものだと釈明したが、金正日総書記を称賛する内容が入った歌であり、釈然としない。彼は南北共同連絡所爆破と関連し「大砲で撃たなかったのはどこだ」と語って非難された。外交統一委員長の身の処し方として軽過ぎる。

(7月7日付)

※記事は本紙の編集方針とは別であり、韓国の論調として紹介するものです。