バッタの来襲に皿が鳴る-ネパールから


地球だより

 新型コロナウイルス禍の中にあるネパールにも新たな招かれざる珍客が来襲した。アフリカ発のワタリバッタの大群である。トノサマバッタに似たバッタで、6月27日にインドを経てネパール南部に達したこのバッタは、翌28日には、カトマンズ南部まで到達し、7月に入るとカトマンズ中心部にまで進出してきた。
 バッタの群れを追い払うため、市民の間にどこからともなく「皿を叩(たた)く音を鳴らせば寄せ付けない」との情報(?)が流れ、カトマンズ市内でも人々がこぞって外に出て皿を叩いている姿が散見されている。

 その効果は疑問だが、日本においても鹿児島の太鼓踊りのように、太鼓を叩いて音を鳴らすことで疫病を退散させるという厄払いの踊りもある。ワタリバッタを寄せ付けないために、皆で外に出て皿鳴らしをするネパール人の団結力に素朴な信仰心のようなものを感じる。

 行政のワタリバッタ対策だが、捕獲作戦による掃討を企図している地域もある。南西部に位置する第5州(ブッダが生まれたルンビニが属する州)では駆除対策として1キログラム当たり20ルピー(約20円)で引き取るなどの施策を打ち出した。

 ネパールではコロナ感染者が7月1日で累計1万3000人を超える事態が続いているが、人と人とが濃厚接触する「密」を避けるなど感染対策をとってのバッタ相手なら、ステイホーム疲れのウサ晴らしにもなり一石二鳥かも知れない。

(T)

(サムネイル画像:CSIRO, CC 表示 3.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=35486123による)