腕自慢の伸びーるアイス-トルコから
地球だより
トルコ最大の都市であるイスタンブールは、暑くなってきたこの時期、そこら中にドンドルマ売りが道にあふれる。しかも売り子は男性ばかりで、ますます暑さが増してくる。
このドンドルマとはトルコ風アイスのこと。公園のベンチにいい年をした男性2人が、これを頬張っている姿は、多分、他国では見ることができない光景だろう。
ドンドルマの特徴は、とにかく粘り気が強いこと。餅のように伸びるアイスを使って、路傍の売り子はパフォーマンスを披露してくれる。
まず、アイスを注文すると、手渡されるのはコーン。容器の中のアイスを長い棒に絡め、売り子がこれに盛ってくれる。だが、コーンの上にアイスを載せたと思ったら次の瞬間には手からコーンが消えていく。アイスの粘着力で、売り子がコーンを引き上げてしまうのだ。その後も、棒の先にくっついたアイスとコーンをクルクル回すなど「曲芸」を披露する。
トルコ風アイスには、「楽しさ」もトッピングされているのが旅行者に受けている。
なお、売り子が男性ばかりというのも、この粘性のためだ。粘るアイスをコーンに取り分けるにも、結構な力が要求されるから、腕っ節が強くなければやっていけないのだ。
この粘りは、どこからくるかというと、もともとはサレップというラン科の植物の球根から作るでんぷんによって粘りを出している。ただし、貴重品で高価なため旅行者が口にするドンドルマは、代用品で済ませている。
(T)