米価とマンション価格
「金持ち王」。1637年版オランダの花図録に出てくるチューリップの名前だ。球根1個の値段が4200フローリンに達する。熟練した職人の年間収入が300フローリン、平凡な住宅1軒の値段は1200フローリンだった。わが国の住宅価格と比較すると、数億ウォンを超える。“チューリップ・バブル”の結果だ。
価格がなぜそんなに高くなったのか。その頃始まった大航海時代と株式会社の登場と関連がある。
欧州の列強は香料を求めて海を越えて東方に向かった。それ以前は、アジアの香料は中東を経てイタリア商人によって欧州に流入した。欧州に向かう香料は言い値が買値だった。1602年3月、オランダの商人組合は投資金を集めて東インド会社を作った。株式会社はその頃、誕生した。投資金で建造した大型の帆船はアフリカ南端を回って東南アジアに向かった。船が沈没すると投資金は蒸発する。激しい暴風と残酷な疫病に打ち勝ち、帆船が戻ってくる日には収益金が山のように積まれた。投資は日常化し、金は溢れた。チューリップ・バブルはそんな時代の所産だ。
バブルの発生と崩壊はその後、絶えず繰り返された。1990年代の日本のバブル経済崩壊、90年代末のインターネット・バブルの崩壊、不動産バブルの崩壊に伴う2008年の世界金融危機(リーマンショック)…。
ハナ金融経営研究所が注目を集める分析を発表した。過去40年間の(ソウル市)江南のマンション価格は84倍にも高騰したのに反し、コメの価格は3・2倍にしか上がらなかったというのだ。江南区のウンマ・アパート(マンションのこと)の1坪当たりの売買価格は1980年の77万ウォンから6469万ウォンに、米価は4㌔基準で3000ウォンから9500ウォンに上がった。
江南のマンション価格はバブルなのか。そんな主張もあるが、断定するのは困難だ。同じ期間に1人当たりの国内総生産(GDP)はウォン基準で35・5倍、ドル基準では18・5倍に増加したのだから。住宅所有の欲望は消えず、お金は多くなった。米価はなぜ高騰しないのか。若い世代は1日に1杯もご飯を食べない。その半面、コメの生産性は上がっている。
新型コロナウイルスがもたらした経済危機。ゼロ金利時代に金はばらまかれ、破産の暗い影が押し寄せている。価格はどの方向に動くのか。神は答えを知っているのか。
(3月30日付)
※記事は本紙の編集方針とは別であり、韓国の論調として紹介するものです。