割り切らない思いやり


地球だより

 先日、ネパールで知人の娘さんの結婚披露宴に初めて招かれた。もちろん、日本とはいろいろな点で風習が違う。

 まず、結婚式の開始時間は決まっているものの、各人それぞれの時間に会場に赴き、新郎新婦にあいさつに行くというスタイルだ。日本では結婚式に限らず開始時間と終了時間がだいたい決まっており、物足りない有志は2次会、3次会に繰り出すのが、一般的であろうかと思う。ネパール人はいろいろ忙しくても、何とか都合をつけて遅れてでもやってくる。その際、現地のネパール人が教えてくれたことだが、贈り物やご祝儀の準備が必要なのは新婦側の参加者の場合のみで、新郎側の参加者はその必要はない。

 記者は花嫁のためにお祝いを用意した。その時に注意しなければならないのは、お祝い金の金額を1桁台まで割り切れない数字にするという習わしがあることである。そのためには5ルピー札や1ルピー硬貨を入れたりするのが一般的。もちろん、割れる(別れる)ことがないようにという験担ぎであるが、やはり新郎新婦に永遠の愛が共にあるように願うのは世界共通である。

 何はともあれ、各人ごとの予定があっても必ず来るようにしたり、ご祝儀にしても最後まで割り切れない数字になるように配慮するのは、ネパール人の思いやり(割り切らない)の国民性が表れている。

(T)