大統領候補の世論調査
現職大統領の任期が後半に入ると、“未来の権力”に対する世間の関心が徐々に大きくなり始める。この頃になると、次期大統領への適合度を尋ねるマスコミの世論調査も頻繁になる。大統領候補の世論調査において、与野党の既成の政治家を退けて予想しなかった第3の人物が急浮上する場合が珍しくない。2017年大統領選挙の2年前の15年から世論調査に名前が上がり、相当の間、支持率1位をひた走った潘基文前国連事務総長がその人だ。その前には安哲秀前国会議員、高建元首相が世論調査で強い突風を巻き起こした。
先月30日に報道されたセゲイルボ創刊31周年世論調査では、次期大統領候補として尹錫悦検察総長(検事総長に相当)が急浮上した。リサーチ&リサーチに依頼し、先月26~28日、成人男女1007人を対象に行った調査で、尹検察総長は10・8%の支持を得て、李洛淵前首相(32・2%)に次ぐ2位にランクされた。自由韓国党の黄教安代表は10・1%で3位にとどまった。現職の検察総長が大統領候補の第2位になったのは前例のないことだ。
この調査結果に政界は神経を尖(とが)らせた。最近連日、進歩陣営を批判する陳重権前東洋大教授は、「ウフッ。もし、この御仁が大統領になったら君たちは皆終わるので、いまこの御仁が検察総長をしている時におとなしく調査を受けなさい」と書いた。共に民主党は不快そうにしながら戸惑いを隠せなかった。青瓦台(大統領府)と対立する尹検察総長の支持率が高いのは、政府・与党にとってはこの上なく不吉な信号であるためだ。党代表の支持率が尹検察総長に抜かれて3位に落ちた韓国党も不快な気配が歴然としていた。
尹検察総長が実際に政治を行うかどうかは未知数だ。彼は機会があるごとに政界入門の可能性を否定してきた。今度の報道と関連しても、「今後、世論調査から私の名前を抜き取ってほしい」と強く要請した。それにもかかわらず、彼を次期大統領候補の2位に押し上げた今度の調査結果には、明らかなメッセージが込められている。政府・与党がごり押しする検察人事が国民から共感を得ていないということの反証だ。黄代表など、既存の保守派政治家が、代案勢力との信頼を国民に与えられなかったという意味にもなる。検察総長が次期大統領候補に浮上したことを与野党ともに自省の契機としなければならない。
(2月3日付)
※記事は本紙の編集方針とは別であり、韓国の論調として紹介するものです。