タイの街頭デモ


地球だより

 タクシン元首相の妹であるインラック首相率いる与党プアタイが、反タクシン派の街頭デモで追い込まれている。

 最大野党である民主党のステープ元副首相率いる反政府デモは13日から首都の主要道路や政府総合庁舎を占拠する計画を打ち出した。政府は警官、兵士など治安組織1万人余を動員して対処する方針だが、催涙ガスなど強硬手段は使えないことから反タクシン派の動きを止めることは難しい情勢だ。

 インラック首相は2月2日の総選挙で、出直しを図ろうとしているが、混乱を理由に選挙委員会が選挙延期を求めている。たとえ総選挙が実施されても、民主党の不出馬と反タクシン派の妨害で当選者の数が下院開会に必要な数に届かない見込みで、タイ政治の混迷はこのまま継続される情勢だ。

 タイ政治は与野党が相互に足を引っ張り合いながら国家そのものが疲弊していく、かつてのバングラデシュ政治の様相を示し始めている。

 タイ政治の安定度の高さは、これまで国際社会の評価するところだった。何より国難に遭遇しても英明な国王の裁断で、幾たびか危機打開の手を打ってきた。だが、その国王も病の床に伏したままだ。

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