100年京紡の悲哀
京紡は1919年に創られた。3・1独立運動が起こった年だ。もともとの名前は京城紡織だ。仁村(号)金性洙が全国を回って投資金を集めて創設した会社だ。当時の株主は188人。近代的な形態を備えたわが国初の株式会社であり、民族企業だ。株主たちはこの会社が日本の綿織(紡績)資本に対抗する堡塁となることを願った。「職員は朝鮮人に限る」という規定を作り、1920年代には朝鮮物産奨励運動の中心となった。「朝鮮人は朝鮮人の布で」。ソウル永登浦のタイムスクエアーの地は、そのスローガンを叫んだ京紡の本拠地だった。
今年で100年を迎えた。祝砲を打ち上げる時だ。しかし、憂鬱(ゆううつ)で辛(つら)く悲しい。今年8月、稼働を止めた龍仁の工場を解体している。機械をベトナムに移すために…。
民族企業はなぜベトナムに移転するのか。全紡(株)のチョ・キュオク会長は“涙のインタビュー”で「6・25朝鮮戦争にも、IMF事態(1997年の通貨危機)にも打ち勝ったが、最低賃金の引き上げには耐えられなかった」と語った。
ベトナムは傷ついたわが国の企業にはパラダイスのような場所だ。地価は安く、人件費はわが国の10分の1にすぎない。法人税は4年間、全額免除してくれ、その後9年間は5%だけ支払えばいい。わが国はどんな所か。“費用の地獄”だ。高い賃金を支払っても夜勤すらさせることができず、税金と各種の準租税はどの国よりも重い。東南アジアに向かいたくならない中小企業がどのくらいあるだろうか。
民族企業? 今や博物館の所蔵庫にでも置いておかなければならない古い理念だ。生存と死滅の境界線を行き来する企業にとっては、贅沢(ぜいたく)な言葉だ。今は経済の国境がなくなった時代だ。
荒唐無稽なことがまた起こった。大統領直属の政策企画委員会は「増税しなければならない」と叫んだ。租税負担率を4~5%引き上げて25%にしなければならないというのだ。法人税・付加価値税の引き上げも提案した。法人税の最高税率25%も低いということだ。付加価値税を引き上げると、全ての国民が税金爆弾に見舞われる。今後は現金をばらまいて、裏では税金を取り立てる表裏不同の朝三暮四の政策だ。増税を叫ぶのは“税金バラマキ”政策を財政的に支えられないためだ。
民族企業まで脱出するやせこけた地。“100年京紡”は韓国経済を映す鏡だ。
(12月14日付)
※記事は本紙の編集方針とは別であり、韓国の論調として紹介するものです。